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三男・エイル-1

ผู้เขียน: suzuki
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-06-18 19:57:06

 家の近くの広場とはまた違う賑わいに、違う街に来たのだと感じた。広場の噴水の前に止めた馬車から降りる。

 本当に大丈夫ですか、と心配する御者に、テイワズは大丈夫だと頷く。

「エイルお兄様に会って帰りますから……帰りは流しの馬車で帰りますので」

 そう何度か言ってやっと、御者は戻ってくれた。

(さて、うまく会えるかしら)

 頼りにした情報は、先日の男爵夫人から聞いた話だけ。

 ──東の街で会ったエイルという金髪の画家。

 絵を見てわかった、この絵は兄の絵だと。

 その画家は兄のことだと。

 オスカリウス家の三男、エイル・オスカリウス。

 魔術の学校を卒業するなり家を出てしまった、離れて暮らす兄。

 画家として生きてくからと、家族の引き止める手を無視して軽く手を振って出ていってしまった。

 定住することなくふらふらと国内を巡っている様子で、最初の頃は手紙が来ていたが、いつしか手紙はなくなり居場所もわからなくなってしまった。

 ヘルフィが最後に知った住所に、テイワズのデビュタントの日を知らせる手紙を送っていたようだが、返事もなく届いていたかすらもわからない。

 ──その手紙の宛先も確かこの街ではなかった気がする。

 男爵夫人だって絵を描いてもらったのは先月だと言っていた。今もこの街にいるのかわからない。

(とりあえず)

 宛ては画廊だ。

 テイワズが歩き出した。石畳を踏むヒールの音が、確かに進んでいると実感させてくれる。

(きっと見つかる)

 その願いが叶ったのは、天が味方をしたわけではなく、降りた場所が良かった。テイワズは知らなかったが、東の街のこの広場は人通りが多く、様々なアーティストが集まる場所だった。

 噴水の反対側。画廊の近く。

 その場所にその人だかりはあった。

 彩り豊かな人だかりで、若い女性ばかりだった。

 高い声の飛び交うその中で、低い声はよく聞こえた。

「あはは、みんなありがと~、ちゃあんと順番にみんなのこと描いてくからね」

 聞き覚えがある声だった。

 足を止める。女性たちの輪から突き出た、高い位置の金髪はよく目立った。

「大丈夫もちろん二人っきりになりながら……ね。あはは」

 金髪の男が周囲の女性たちを見渡す。その目の色は──テイワズが思った通りの、緑色だった。

(お兄様)

 男性にしては長めの金髪。若葉色の目。

 見間違えるわけがない。テイワズ
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